Vol.008. 北海道「刃物専門店 宮文」

北海道民なら誰もが知る老舗刃物店

豊富な品揃えと確かな技術で北海道の人たちに長年愛され続ける老舗の刃物専門店です。
北海道内に7店舗を展開しています。

— 取り扱っている商品についてお聞かせください。

札幌市の狸小路にある「刃物専門店 宮文」本店では包丁がメインで、その他ナイフや道具類を取り扱っています。道具類はいわゆる彫刻や大工道具といった刃物類です。また、爪切りや鋏といった理美容用品と調理用品を取り扱っています。

— たくさんの商品が陳列されていますね。包丁が店内の半分以上あって数がすごいですね。この中からどのような包丁が選ばれますか?

ステンレスが多いですね。プロ向けも購入されますが、もともと一般のお客さまが多いのでステンレスの包丁をよくお買い求めいただきます。

— では三徳包丁や文化包丁といった一般家庭向けの包丁ですね。

そうですね。低価格だと6千円程度になりますが、もっとも選ばれる価格帯は1万円~1万5千円ぐらいです。

— 包丁研ぎや砥石についてお聞かせください。刃物研ぎもされていますし広く親しまれているイメージがあります。

研ぎ直しは道内限定でお預かりしているのですが、頑張ってなんとかご好評をいただいています。
この辺りは料理屋さんも多くあるので、直接お店に持ってくる方も多くいらっしゃいます。中には自分では研がず定期的に当店に預けられる方や、研ぎ壊してしまって5、6本まとめて預けられる方もいますね。

— 開店と同時に来店される方もいましたし、先ほど受け取りに来られた方もいましたけど一日どれぐらいの本数を預かるのですか?

うちは7店舗あって研ぎ直しをする店舗としない店舗があります。研ぎ直しをしない店舗で包丁を預かり、研ぎ直しをする店舗にそれぞれに送って研ぎ直しをします。ここ狸小路の本店で一日だいたい200本ぐらいです。

— 一日で200本ですか?

はい、一日で。

— むちゃくちゃ多いじゃないですか。メーカー並みに研いでいますね。今もお店の奥から研磨機の音がしていますし。

刃物研ぎの依頼は持ち込みのほかにホームページからも依頼ができるので、郵送で届くものもあります。まとめて送られる方もいるので一度に30~50本届く場合もあります。また他店舗では研げないハサミなどをここ本店で研いでいます。

そのため朝から晩までフル稼働です。店の奥には円筒の研磨機に水平研磨、バフが2種類あり、それらと手で仕上げていきます。

— リピートされる方も多くいそうですね。包丁研ぎの相談もありそう。

砥石を購入される際に相談されますね。動画配信サイトに研ぎ方動画がたくさんありますけど動画だけではよく分からないこともありますし、自分で研いで上手くいかなかったとしても最後はお店で研ぎ直してもらえる安心感もあって相談しやすいようです。

— 販売だけではなくて、しっかりフォローしてくれるのがいいですね。

包丁に比べるとごくわずかですが、アウトドアが流行してナイフも多くなりましたよ。ナイフ類はアウトドアナイフやハンティングナイフがあります。

— 北海道だと自然も多いですから、狩猟で解体する方もいらっしゃいますか?

そういった方はちゃんと狩猟の免許があって動物を解体される方ですね。以前は圧倒的に狩猟用の物が選ばれていましたが、今はアウトドアの流行によりアウトドアナイフも多くなりました。

— 北海道と言えば海産物が豊富ですよね。出刃包丁や刺身包丁も人気なんじゃないですか?私の勝手なイメージですが、一般家庭の方もよく魚を捌くのかなって。

そうですね。10月頃になると出刃包丁など魚に関わる刃物が一気に売れます。
スーパーマーケットでも捌いてもらえるのですが、北海道も釣りをする人が多くいるので家族が釣った魚やご近所から魚をいただくわけですよ。でも魚を切るような包丁がないから、この時期になると集中して売れます。万能包丁で捌いて欠けてしまったから研ぎ直しと出刃包丁を買いに来る方もいます。

— ナニワ製品でお勧めする砥石は?

剛研シリーズですね。中砥石の「剛研 玄人(プロ)」と荒砥石の「剛研 荒武者」。

この二つはお店でも使っています。特にこの二つが和包丁に合っていると思います。よく研げるし和包丁の地を出すのにすごく助かります。また荒武者は平面維持力もあって使っていく中で砥石表面が凹みづらいのもいいですね。

— 実際に使っていただいている人で、しかもあれだけたくさんの数を研ぐお店の方から聞けてとても嬉しいです。ありがとうございます。

どの砥石を買うか迷っている人にも「うちではこの砥石を使っています」とおすすめしやすい砥石です。それに一般家庭だったらほとんど一生もののサイズですよ。特に「剛研 荒武者」は三丁掛で大きなサイズでずっと使える。でも女性が持って帰るには重たいですけどね。

— 正直、歩いて持って帰るのはつらいでしょうから自転車か車で。
— 包丁の使い方・研ぎなどアドバイスをお聞かせください。

使い方だと、やっぱり「用途に合わせて使う」ことが一番ですね。逆の言い方をすると「刃の厚さにあった食材」を切る。

あと洗い方かな。鋼の包丁を使った後は中性洗剤でしっかり洗い、水道のお湯ですすいで水気を拭き取ってください。お湯であれば水滴が残りづらくて水気を取り除きやすいです。 これはご購入いただいた際に必ずお伝えしています。

— 鋼=錆びるイメージですが、濡れているから錆びる訳ですからね。

どうしても錆びた場合は、サビ落としやクレンザーなどで落としますよね。それで刃先を洗っちゃうと若干切れ味が落ちちゃうので、鋼は錆びないよう気をつける。 スポンジを使う際もスポンジの堅い面で刃先を洗うとダメになりますから、研ぐ事も大切ですけど洗う際も気をつけて欲しいです。水気を拭き取る際も包丁の刃とは逆から拭くこと。これだけでも切れ味は長続きします。

包丁研ぎに関してだと、やはり両刃包丁を研ぐ際の「角度」。よくわからないまま研いでも切れ味の悪い刃になってしまいます。たから角度をしっかり守る。10~15度という基本の角度で研ぐことが大切です。

研いだ包丁の何が悪いのか見ればわかるじゃないですか。それに対してアドバイスをしますが、やはり角度に関する事が多いですね。やり方は合っているけど、動かしていると角度が変わってしまうとか。これは何回も何回も研いで上達するしかないです。

— そうですね。角度を意識して研ぐだけでも上達のスピードは違うと思います。

あとは「まくれ(カエリ・バリ)」です。
どこまで研げばいいのかわからないから研げているのか判断が出来ない。だから購入時にそういった方には見本の包丁の刃先を触ってもらいます。

相談されて思うことは、角度の問題と最後まで研ぎきれていないことが多いです。だから意識してほしいですね。

お忙しい中、刃物だけでなく宮文の歴史などたくさんお話を聞かせていただきました。店頭で手研ぎもされているので見ることが出来るかもしれませんので訪れてみてください。ホームページに記載されている「刃物は縁起の悪いものではなく『開運の刃物』」という表現もステキです。


■ pick up <剛研シリーズ>

品番 商品名 サイズ mm 粒度
QA-0331 剛研 荒武者 205×75×50 #220
QA-0341 剛研 玄人 210×75×30 #1000

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刃物専門店 宮文 本店
〒060-0062 札幌市中央区南2条西2丁目
URL:https://miyabun.shop/