日本でも数少ない一貫製造の包丁メーカー
日本を代表する刃物産地、新潟県燕市にある「藤次郎株式会社」のナイフギャラリー。
包丁造りのすべての工程を自社で行い、その品質の高さから日本国内だけでなく海外でも愛用者が多くいます。
— 藤次郎ナイフギャラリーについて
ナイフギャラリーは、藤次郎オープンファクトリー内に2015年7月にオープンしました。
藤次郎の本社は(工場とは)別の場所にあるのですが、お取引きのある企業、販売店の方々を対象に工場見学に来ていただき、そのあと商談で本社に戻るということをずっとやっていました。
ですが、工場の隣にショールームがあれば、本社と工場の往復をする必要が無くてお客さんにメリットがあるし、さらにショップがあれば一般の方向けにも良いんじゃないかということで、はじめはそういった経緯でナイフギャラリーのオープンが決まりました。
ちょうど燕三条地域が産業観光に力を入れ始めた時期でもあり、色々な企業が取り組みを始めていました。
そこで工場の製造工程を一般の方にも見ていただき、観光に繋げようということになり「じゃあ、うちも工場の見せられるところは見せていこうか」とオープンファクトリーが始まりました。
いい包丁は価格が高いと多くの方が思われますが、オープンファクトリーで実際に製造工程をご覧いただいて、それだけ手がかかっているということを見て感じ取って頂ける施設として運営しております。
— なるほど。実際に職人さんたちの仕事を見ることで技術に裏付けされた価値的なものを感じますね。
包丁を販売するだけでなく、包丁の研ぎ直しや柄の入れ替え等のメンテナンスも行っており、修理関係は全部ナイフギャラリーでお受けしています。
あとキッチンスタジオやセミナールーム等を併設してあるので、料理教室やセミナーなどを開催し、一般の方や、それこそプロの方も含めて藤次郎が関わる部分を作っていこうと考えています。
— キッチンスタジオ等も利用される方は多いですか?
以前は藤次郎が主催で料理教室等、一般の方を対象に月に1、2回は開催していましたが、コロナの影響で今はまだ一般の方向けは再開していません。
今日はスチームコンベクションオーブンのメーカーさんがセミナーを開催中です。
※このあと外に出るとサバを焼くすごくいい香りがしていました。
— そういったセミナーも行われているんですね。
プロ向けのセミナー等に使っていただいております。
あと年に1、2回程度で藤次郎が主催のイベントを開催しており、魚を捌き方や料理やお菓子教室、クリスマスの時期には、藤次郎のスタッフが講師としてクッキーを作る教室も開催しています。
藤次郎さんの歴史などを聞かせてください。
藤次郎株式会社は会社として70年ぐらいの歴史があります。
日本刀の製造から始まった包丁メーカーさんが多い中、藤次郎は農機具の製造が始まりで、冬場の仕事の代わりとして果物ナイフを作り始めたところから藤次郎は始まりました。その為、刃物メーカーとしては比較的新しく、大体60年の歴史の為、包丁造りに関するしがらみも無く、新しい技術や今まで誰もやっていないことを早めに取り入れることができました。
— 新しい物を取り入れ、試行錯誤する柔軟な対応が可能だったんですね。
昔はいわゆる利器材(利器材についてはコチラ)で複合したような材料等そういった物は本当にご法度でしたが、藤次郎は早くから取り入れてきました。
今では多層構造の包丁に関して世界でナンバーワンの出荷数を誇っており、世界でも有数のノウハウがあると思います。
— 研ぎ直しについて
研ぎ直しの依頼の多くは新潟県内の方からですが、県外の方からの依頼も多くいただきます。
お預かりした包丁はファクトリーの職人がその場で研ぎ、お預かりしてから通常1時間程でお渡しすることができます。
研ぎ直しの依頼は年末にかけて多くなり、公式オンラインショップからも研ぎ直しの依頼を受け付けているので日本全国から依頼があります。その為、かなりの数を工場で研いでいます。
藤次郎は日本の包丁を海外などで販売する上で「研ぎ直し」を一番重要なことと考えています。販売した先で刃のメンテナンスができなければ日本の包丁の良さは維持できないからです。
現在、海外のマーケットで「研ぎ直し」にすごく力を入れていて、藤次郎では研ぎ直しの啓蒙活動を一生懸命やっています。ナイフギャラリーでも研ぎ直しの講習会を定期的に開催しており、一般の方向けに研ぎ直しの講習会を開催したり、飲食店から研ぎ直し講座の開催依頼があれば、藤次郎の職人が伺い、研ぎ方を教えるといった活動を行っています。
海外に関して、藤次郎では基本は1国1代理店としており、研ぎ直しの技術が無い国であれば、研ぎ直し用の水研機を導入いただいて、実際に研ぎの技術を教え、代理店でも包丁のメンテナンスができるようにレクチャーします。
— 自社の製品を案内してもらう以上とても大切なことですね。
あとYouTubeで研ぎの動画などいろいろ公開していて、日本語と英語の動画があります。
— 包丁研ぎについて興味を惹かれる方って多いんですか?
やはり包丁を買う際、研ぎを気にされる方がすごく多いです。
包丁を求めて来られた方に「この包丁はどうやってメンテナンスしたらいいですか?」と聞かれ、砥石をおすすめすることは多くあります。
包丁研ぎは中砥石が一番重要ということもあり、クリーンセラの中砥石がよく購入されていますね。
あとはセラミック系、砥石表面に水をかけてすぐに使用できるものだと剛研 輝(かがやき)も購入されていますが、やはり抗菌砥石クリーンセラかな。
— クリーンセラなんですね。むちゃくちゃありがたいです。
あと藤次郎が考案、販売しているもので「TOGRIP 研ぎホルダー」という包丁を研ぐ際に包丁に取り付けて使用するアイテムがあります。
研ぎの一番難しい点は包丁の固定なので、こういった道具を作りました。研ぎの角度が固定され、包丁研ぎが簡単にできるようになります。あと研ぎ方を記載した冊子やYouTubeも一緒に案内をしています。
— 包丁研ぎがはじめてでも安心して包丁を購入することができますね。
包丁の研ぎ方などアドバイスなどあればお聞かせください。
研ぎで一番重要なことは研ぐときの包丁を寝かせる角度。「ハンドルを握る手首をいかに固定するか」という点が重要な部分です。
あと、砥石表面の歪みについて知らないで歪みを直してない方が多くいます。家にある砥石について聞くと「砥石は持ってる、家にあるんだよ。でもね、凹んでるんだよね。」て。
やはり砥石自体のメンテナンスもきちんとお伝えしていかないと駄目だと思っています。
研ぐ説明をするスペースに置いてある凹んだ砥石を見せて、「こうならないように面直し砥石で削らないと駄目ですよ」とお伝えします。
— しっかり歪んでる。この実物を見てもらった方がわかりやすいですね。
そうですね。あとスタッフが実際に包丁研ぎを見せながら説明もします。
この後、オープンファクトリーを案内していただきました。工場内は包丁が完成するまでの工程ごとに巡ります。職人さんとの距離も近く、作業工程によっては手元が見える距離で見学することができます。
オープンファクトリーは、ぜひ実際に行って職人さんの仕事をご覧ください。
■ pick up <抗菌砥石 クリーンセラ>
品番 | サイズ mm | 粒度 |
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IS-0110 | 210×65×32 | #1000 |
IS-0120 | 210×70×60 | #1000 |
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藤次郎ナイフギャラリー 燕本店
〒959-0232 新潟県燕市吉田東栄町9番5号
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