Vol.005. 東京都「かまた刃研社」

4世代に渡って受け継がれる研ぎの技術

東京かっぱ橋道具街にある刃物研磨と包丁を提供されている、かまた刃研社。
研ぎ屋をルーツとし確かな研磨技術で職人もリピートするお店です。

—どのような商品を取り扱っていますか?

包丁をメインに取り扱っています。
また、手入れをする砥石や調理道具の類も取り扱っています。
かっぱ橋道具街で当店のように刃物と刃物研磨の技術に特化しているのは珍しいと思います。

— 技術も売りの一つなんですね。

そうですね。
うちにはプロが何年も使用して手に負えなくなった包丁の修理や研ぎ直しの依頼があります。それを修理し、新品以上の切れ味にする技術がありますし、その為にメーカーが使うような大掛かりな機械も入れています。

— お店に入って、まず初めに大型の水研機があることに驚きました。

そうでしょう。お受けした包丁はきっちりと直し、新品以上に切れる包丁にします。
ただ切れる、切れないの話だけではなく出来上がった物の美しさにもこだわります。
だからプロの方の多くがリピートで利用してくれています。

— 本当に職人ですね。また研ぎ直しを頼みたいと思いますよ。

だって包丁が切れるのは当たり前でしょ。その為の道具も揃えていますし扱う技術も備えています。一流の板前さんの包丁を研いでいる以上は「これがプロの研ぎだな」と思われる仕上がりじゃないといけない。
使用する砥石も粒度や製法、硬さと違いがあるし研ぐ包丁の鋼材や形状によって相性も全然違う。そのことを理解した上で使い分けています。

取り扱っている商品も同様です。
海外だとナイフを購入する判断基準の一つとして鍛冶屋があります。ですが当店で購入する人はそうじゃない。ここで買えば間違いないという判断で購入する訳だから、取り扱う商品もそれに応える品質である必要があります。

— 厳しい目で見極めた物なんですね。
包丁研ぎについてお聞かせください。

私の祖父が研ぎ屋を始め、祖父、父と多くの事を教わってきました。
ですが私は理屈っぽいところがあってね。どうしてこれをこうしなければいけないんだろう?だったらこうしたらいいんじゃないか?と常に考えて自分なりに試行錯誤してきました。
職人の世界は親方に言われた通りにしないといけませんから勝手なことをしてよく怒られましたね(笑)

— 教わった事が基礎にしっかりとあったからできる事だと思います。

素材も使い方も日々進歩し、お客様の要望も変わってきますから対応策を持っていないといけません。その為にも工程の理由をちゃんと頭の中でわかっていないといけないし、それに対応できる技術と知識がないとダメだと思うんですよ。

今は包丁の研磨作業は4代目の息子に任せていて私は特殊な刃物、例えば鉋や蕎麦包丁、波刃の刃物などを担当しています。
息子には大学生の頃から研ぎ方を教えていたのである程度技術がありましたが、包丁を作る現場も知ってもらう為に大阪 堺の職人のところに鍛治と研ぎについて一年間修行していました。

— 一般の方からは「どの砥石を選べばいいかわからない」とよく聞きます。そこでナニワの製品でオススメの砥石はありますか?

ナニワさんの砥石かぁー、むずかしいねぇ(笑)

— そこをなんとかお願いします(笑)

超セラミックス砥石が一番いいけど一般の人が使うには値段が難しいかな。

— 初めて買うにはハードルが高いかもしれませんね。でも超セラのどういったところがいいんですか?

やっぱり研削力と研いだ時のしっとりした感触かな。他社の同じ製法の砥石だと包丁には少し硬く感じるね。
一般の人たちにはオススメしづらいけど自分たちでは超セラを使っている(笑)
研ぎをする上で仕上がりだけじゃなくて効率も大切だからね。

— 超セラはよく研げますからね。一般の方だとどうですか?

一般の方だと剛研デラックスの中砥石かな。硬いステンレス系だと若干研ぎずらいから、すこし荒い#800が手に取りやすい価格でいいと思う。
出来れば荒砥石から使って研いでほしいけどね。

— 購入された方に研ぎ方もお伝えを?

簡単な説明をして冊子をお渡ししています。冊子は日本語と英語の両方で書いてあるので海外の方が特に喜ぶ。
刃を通すロールシャープナーを使う人も多いけど角砥石で研いだ方がやっぱり切れ味がいいからね。

— 包丁研ぎ教室もされていて、すごい人気で予約がなかなか取れないそうですね。

月二回ぐらいで開催していますが開催の案内を出せばあっという間に満席です。内容も入門編と応用編があって、教えるからには責任を持って研ぎ方を教えています。

— 技術に裏付けされた信頼性があるからかまたさんに習いたいと思うんでしょうね。だから常に開催の案内をチェックしている人もいると思います。包丁の使い方などでアドバイスなどをお聞かせいただけますか。

包丁って長い短い大きい小さいはなんとか我慢して使えるけど、硬い物柔らかい物を切る時だけは使い分けてほしいです。刃の厚い硬い物を切る包丁では柔らかい物は切りづらいし、刃の薄い柔らかい物を切る包丁で硬い物を切ると刃が欠けてしまいます。冷凍の食材は石と同じような物ですからね。

いい包丁だからって欠けない訳じゃない。いい包丁ほど刃は薄く鋭く仕上げているから乱暴に扱うと簡単にダメになる。切れない包丁は刃が厚くなっているから刃が薄い切れる包丁より欠けづらいんですよ。だから同じ感覚で使用するのは間違いで、いい包丁ほど使い方が繊細ということを知ってほしい。

新しい包丁を購入したら、それまでに使用していた切れない包丁は硬い物に使用するようにすればいい。

— なるほど、それいいですね。

ある程度欠けづらくなっているから切れる包丁より乱暴に使える。新しく購入しても無駄にならない。

— 研ぎに関してだとどうですか?

硬い物柔らかい物で使い分ける刃の角度が大切。
薄く研ぐ場合、削る面積が増えて時間がかかるのに少し硬いだけで欠ける。だからと言って鈍角にしすぎても切れない。

あと、時間をかけず短時間で研ぎ上げる事。1時間研いだからって切れるわけじゃなくて手が疲れない短時間で仕上げる順序が大切です。時間がかかれば角度がブレて鋭利な刃がつかない。

たまに仕上砥石をいきなり使う人がいるけど時間だけがかかる。いきなり仕上げ砥石の#5000を使ったらいつ仕上がるかわからないよね。出来れば荒砥石から中砥石、仕上げ砥石と順番に使っていくのが理想ですね。

それと、荒砥石から使うメリットがあって研げた証のカエリが大きく出てわかりやすい。一般の人はカエリがわからず、いつ研ぎ上がるのかもわからないから荒砥石から研いでカエリを知る為にもオススメしています。

かまた刃研社さんではとても丁寧に論理的にお話を聞かせていただきました。
お話を聞いて、ご自身の仕事にプライドと責任を持って向き合われているのを強く感じました。研ぎも実際に見ることができ、選りすぐりの包丁が揃うかまた刃研社へ訪れてみてください。


■ pick up <剛研デラックス>

品番 サイズ mm 粒度
QA-0310 210×65×30 #800
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